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カヴァルケードのTSのレビュー・感想・評価

カヴァルケード(1933年製作の映画)
2.9
【時代ごとに描く英国史】
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監督:フランク・ロイド
製作国:アメリカ
ジャンル:歴史
収録時間:110分
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第6回(1934)アカデミー賞作品賞受賞。
アメリカが描く19世紀末から20世紀前半にかけての英国史です。年代を追っていく描き方でして、アカデミー賞といえどやや退屈。しかし、ボーア戦争の事情やタイタニック号沈没、第一次世界大戦あたりも描かれていたので歴史が好きであれば少し興味深い作品であります。

1899年の大晦日から1932年の大晦日までを大英帝国ととも大行進(カヴァルケード)にしていく話。ロンドンのとある一家に焦点があてられていて、各年代の事件などを取り扱う。

18.19世紀に繁栄を極めた大英帝国ですが、19世紀末になると徐々に陰りが見えてきてました。この大行進はつまり大英帝国の衰退までを表したもので、アメリカがこれを作ったとなると、いわゆる覇権国家の交代を伝えていたものなのかとさえ思えてしまいます。第一次世界大戦以降はアメリカが世界のリーダー的存在になります。ヨーロッパにおいては強国でありながら、最早世界のリーダーではなくなってしまった大英帝国。その虚しさも今作から垣間見れます。

随所に「蛍の光」が流れますが、個人的に感動したのは、タイタニック号の描写の時にはしっかりと「主よ、御許に近づかん」を流していたことです。やはりタイタニック号において最後に演奏されていたのはこの曲という認識が当初からあったそうで、これは『タイタニックの最期』や『タイタニック』でも踏襲されています。タイタニック号沈没の描写はなかったものの、英国史に刻まれている事件だったのだと再認識されました。

時代を追う書物の書き方を「編年体」と言いますが、まさしく今作もそのような描き方です。これといって主人公が決まっているわけでもなく、とある一家に焦点を当てて物語が淡々と進んでいきます。当時の世界をいわばダイジェスト的に描いていたので、そこが評価されてアカデミー賞になったと思うのですが、今見るとやや退屈。描き方で評価されるというのは、月日が経つにつれて風化していくように思えます。
従って、そのあたりで攻めた今作は他のアカデミー賞と比べても少し見劣りがしてしまうと思います。

ちなみにこれは大学の図書館で、VHSで見たのですが、VHSを再生するとか実に何年ぶりであったか。。
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