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クロストロフォビア [閉所恐怖症]の光のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

これは良いマヌケ映画だった。
普通に観ると至って普通の凡作であり、特別良い評価もできない。
観終わっても何も残らない系の薄っぺらいサスペンス・スリラー作品だ。
しかし個人的には支離滅裂な展開・ストーリー・テーマとツッコミ所満載でして意外と笑えました。
内容は女学生がある日突然誘拐監禁されるという話で言うなれば、よくある監禁シチュエーション・スリラー映画の量産作品だ。
こういう作品で注目とされるポイントはやはり、犯人の正体・犯行の理由・緊迫感の演出・恐怖シーンなどだろう。
しかし本作はそれらの要素をすべてはずして笑いへと昇華させている。
なかでもミスリードというものを勘違いしているんじゃないかと思わされるほどの展開の暴走っぷりは鑑賞者すべての予想の右斜め上を飛び越えるだろう。
とりわけ最高におかしい部分は原題・邦題両方に満場一致で決定されたタイトルの閉所恐怖症が作中まったく意味のない要素なだけでなく恐怖描写を消滅させる理由になっていることだ。
普通この映画のタイトルとジャケットデザインを見たら誰でも“狭いところに閉じ込められた美少女が恐怖を体験して閉所恐怖症になるストーリー”だと思うだろう。
だが閉所恐怖症なのは犯人で、閉所恐怖症ゆえに広い部屋にしか入れないから監禁部屋も広くなるという迷走っぷり。
本作には閉所も恐怖も無い。
そして犯人がこの犯行に及んだ理由はさらに上を行く。
本作の冒頭で少年時代の犯人が女子に狭い所に閉じ込められて閉所恐怖症になるという過程が説明され、これを観た鑑賞者は“大人になった犯人がその女子を見つけ出して監禁するストーリー”だなと予想するだろう。
しかし主人公はまったく関係のない人で、犯人の復讐するべき女子はすでに犯人の手にかかっていたと判明する。
しかもその女子が全身麻痺で腎臓を悪くしたために助けようとして主人公を拉致って移植手術を勝手に始めちゃうというのが事の全容だが、そもそもなぜその復讐するべき女子を助けるのかがまったくの謎。
完全な理解不能展開が繰り広げられる。
最後のエンドクレジットには「腎臓移植ドナーは不足している」などという社会問題的なテロップが流れるが我々には「そういう映画には見えなかった」と総ツッコミを入れざるを得ない。
もはや何がしたかった映画なのかわからない。
おそらく腎臓移植して助けたい人がいるのにドナーが不足しているせいで助けられない→だったら誰かの腎臓を盗むしかない→という心理に陥った犯人の苦悩が描きたかったのだろう。
しかし移植のドナーが不足している説明も無ければ犯人がその女子を助けたいと思わせる説明も無い。
というかその女子は犯人を閉所恐怖症へと追い込んだ張本人ですからね。
それでいて主人公と閉所恐怖症がこのテーマにまったく関係がないときた。
この限度を超えた支離滅裂っぷりは脚本書いた人ぜったいラリってるね。
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