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フェイズ IV/戦慄!昆虫パニックのsayaのレビュー・感想・評価

3.5
知性の進化した蟻の急激な増加に気づいた生物学者たちが砂漠の研究所で調査を開始するのですが、逆に蟻から知恵比べを挑まれてしまい、徐々に追い詰められていく物語です。
映画で重要な冒頭のつかみである開始8分間に蟻の映像しか映らないのがネイチャードキュメンタリーのようでした。
人類の存続を賭けた壮大なスケールの話なのに、脇役も含めて人間が6人しか登場しないのもすごいですね。
CGもない時代に本物の蟻たちを使って演技をさせているのが衝撃的でした。
本当に知性があって蟻同士で会話しているように見えてくるから不思議ですよ。
どうやって撮影したのか制作ドキュメンタリーがあるなら観てみたいものです。
昆虫パニック映画というジャンルは巨大蟻や人喰い蟻といった子供だましな内容も多いですが、本作のように物語は静かに進むのに気づいた時には手遅れになっている状況が一番現実的で恐ろしいですね。
蟻に勝てないと悟った主人公が、人類という種の存在価値を蟻たちに認めさせて共存を図る戦略に移行していくのもユニークでした。
研究のためなら手段を選ばない冷酷な博士と、感情的で状況を悪化させるヒロイン、どちらも極端すぎて研究所にちょうどいいやつがいないのも面白かったです。
ゴア描写が全然ないのは物足りないですが、手のひらを突き破って蟻がぞろぞろ湧き出してくる演出は良かったですよ。
絶望的な状況なのに見る人によっては羨ましく感じられてしまうメリーバッドエンドが不思議な余韻を残してくれます。
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