Longsleeper

もののけ姫のLongsleeperのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.3
過去鑑賞。
ナウシカと並んでジブリで最も好きな作品の一つ。
自然と文明がぶつかり合う様子を描くのはナウシカと同じ。
だけど、ナウシカが絶対的聖母のような立ち位置だったのに対し、サンは「人間だけど非文明側に立つ」矛盾を内包し、葛藤を抱えることを運命づけられた人物。
エボシ御前も、敵味方で割り切れない利害の対立を浮き彫りにする人物に見える(ナウシカでいうクシャナ殿下)。
ジブリのTwitterで「目的のために手段を最適化することを厭わない現代人像」という言及があってまさにそうだと思った。
神話的要素の強いナウシカ、よりヒューマンドラマを掘り下げたもののけ姫という感じがする。

サン側もエボシ側も、本気で憎めるような人はいない中で、その対立を利用するジコ坊たち、なんかこう言うの現実世界にもいるよね。
手段として起用された存在が、目的を離れて事態をどんどん抜き差しならない方向に転がしていくと言うか。

絶対的な正解はなく、抱えた矛盾にひたすら向き合い続けるしかないことを示唆するラストが印象的。
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