OASIS

今日、キミに会えたらのOASISのレビュー・感想・評価

今日、キミに会えたら(2011年製作の映画)
3.8
ロサンゼルスの大学に留学していたイギリス人のアンナは、そこでジェイコブと恋に落ちる。
しかし、アンナのビザが切れてしまい強制送還となって二人は遠距離恋愛となってしまうという話。

二人の感情が胸の痛い部分に響いてくる恋愛映画。
甘々な部分もあっても良いが、やはり苦い部分が無いとこういう映画は面白くない。
主演のアントン・イェルチンとフェリシティ・ジョーンズの、絶世の美男美女とは言えないがとてつもないリアルカップル感が良い。
そして、それを常に第三者的目線で捉え続けるカメラの微妙な距離感もまた良し。

始まりはほんの少しのわがままだが、それが自分たちの首をジワジワと絞めていく取り返しのつかなさ。
そして徐々に開いていく心の距離を更に広げる時差の存在に、遠距離恋愛をした事が無い自分ですら、国を隔てて愛を育む事の困難さを突きつけられてしまった。

出会いから親密になるまで、そして離れてまたくっついて、という流れをかなりテンポ良く描いているだけに、その分感情の流れが早すぎると感じてしまうという所がある。
二人共に新しい恋人が出来てしまう下りの流れがいくらなんでも情が薄すぎると感じてしまった。
しかし、なんとも言えない二人の「表情」が雄弁過ぎる程に心情を語るので、満たされない想いがビシビシと伝わってくる。
二人の台詞はほとんど即興によるものだそうだが、本当だろうか?
そう思うほどに、言葉と言葉の間や目線の動かし方など気まずい空気を作り出すのが上手すぎる。
そしてその微妙な空気のまま映し出される原題「Like Crazy」のタイトル。良い。

最初はジェニファー・ローレンス目当てで観た。
少ししか出番は無いものの、やはり存在感は抜群。
それ以上にリアル過ぎる二人の心模様に惹かれる部分があったので、「ブルー・バレンタイン」辺りが好きな人にはオススメしたい。
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