うにたべたい

原始獣レプティリカスのうにたべたいのレビュー・感想・評価

原始獣レプティリカス(1961年製作の映画)
3.8
デンマーク唯一の怪獣映画。
イギリスにはゴルゴ、韓国にはヨンガリーがいるように、デンマークにはレプティリカスがいるんですね。

銅の採掘のためボーリングしていたところ、ドリルの先端に肉片と血液が付着していることを作業員が発見する。
掘り起こされたそれは氷漬けの古代生物のしっぽで、すぐさま研究所へ送られるが、管理ミスで常温解凍されてしまう。
組織の腐敗を予期して嘆き悲しむ博士たちだが、予想に反し、しっぽだけのその肉辺は自己再生を行い、増殖を開始していた。
肉片を栄養液に漬けて様子を見ることにするが、それは予想を上回る速度で成長を続けており、雷の夜、巨大な怪獣に成長したそれは、夜の街へ逃げ出してしまう。
デンマークの街に現れた怪獣「レプティリカス」を倒すため、軍や科学者が奮戦する。

デンマーク映画として有名ですが、本作はアメリカとの共同制作で、デンマーク版とアメリカ版の2種類が存在します。
ネットの情報によると単なる吹き替え、再編集ではなく、それぞれのバージョンのために同じシーンを再撮影している様子です。
本作で登場するレプティリカスの得意技の口から吐く緑色の怪液ですが、これはアメリカ版で合成されたものだそうで、ということは、私が視聴したのはアメリカ版だったようですね。

レプティリカスは無機質な瞳の怪獣らしいルックスをしています。
首が長く、反して胴体は短いです。
ナメクジに怪獣の首を付けたようなフォルムで、翼があり飛翔するシーンがありました。
あと、割と顔に近い首の途中に申し訳程度に小さい手があります。
あれはどう考えても何の役にも立たないですね。
DVDのジャケットにはドラゴンのような姿が描かれていますが、実物はもっと怪獣らしいややとぼけた姿形をしています。
こいつがあるシーンでは家族が住む一軒家を襲って、お父さんを丸呑みにするのですが、そのシーンがかの尻怪獣もビックリのチープな特撮になっており、子供の目の前で父が食われるというショッキングなシーンにも関わらず合成のしょぼさにそれどころではなかったです。
この残酷なシーンを受けて付けられた邦題が"冷凍凶獣の惨殺"という、邦題つける人はもう少し頑張って欲しいと思いました。
また、レプティリカスは口から緑色の粘液を噴射するのですが、噴射した粘液の噴射後が描かれず、いかにもな合成で口から緑色の何某かが出てきて、画面いっぱいに緑の液体が飛び散るシーンが出てくるのですが、ただ汚いだけでなんの効果もない様子なんですね。
アメリカ版用に後付けで追加した特撮だからなのでしょうか、せっかく出したんだから付着した場所が溶けるとかなんか欲しいところでした。

本作は本物の軍隊が撮影に協力して本物の武器をぶっぱなしたり、デンマークの色々な観光地が襲われたり、エキストラの数がすごく多かったり、デンマークという国を上げた撮影だったんだなーと感じました。
レプティリカスを追って、そのうちデンマークに行ってみたいという気にさせてくれます。
それにしても、なんだか久しぶりに怪獣映画らしい怪獣映画を見た気がします。