森野c5果実

ペリカンマンの森野c5果実のネタバレレビュー・内容・結末

ペリカンマン(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

一羽のペリカンが人間に化け、人間生活を謳歌する物語。
仕事や少年エミルたちとの交流を通して視る人間の世界をピュアに、そして突っ込みどころ満載で描いている。
居間の真ん中にバスタブを置いて水浴びしたり、服や靴を冷蔵して新鮮さを保とうとする発想は人間に扮した動物ならではで面白い。

なぜペリカンが人間になれるのか?
誰もが抱くであろう疑問だが、それは人間(特に大人)の固定概念に過ぎない。
化けるわけがないと決めつけてしまえばそれまでだが、できないと知らなければ叶えられる。

ところどころで鳥丸出しな仕草を見せるペリカンマンだが、大人たちは気づかない。
というより、見ているが見ていない。
「(人間は)見たいものしか見ない。現実を見てない。人間は幻影を信じる」
なるほど、と感心。
そして、ペリカンマンが何か悪さをしたというわけでもないのに、正体がバレるや否や問答無用で動物園送り。
人間の愚かさが心に刺さります。

ラストの別れの場面では「(人間として過ごした日々のことは)忘れる」と断言。
楽しい時間を共に過ごした少年エミルにとっては残酷な一言。
だけど「忘れないで」とお願いしたりもしない。それが動物と人間の違いであり、
忘れずに覚えているのは辛いけれど、幸せなこと。それが人間として生きるということ。

コミカルで強引な設定でありつつも、真剣さが伝わる映画でした。
森野c5果実

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