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シュリのmendeのレビュー・感想・評価

シュリ(1999年製作の映画)
3.0
東京国際映画祭で。監督のアフタートーク付き。
韓国だけでなく日本でもヒットしたが、見逃していたので初鑑賞。
配信もリバイバルもほとんどなかったのは、版権をもっていたサムスン系の会社が廃業したせいだったと監督から。その件もようやくクリアになり、来年、日韓で再上映される見通しだとか。

北朝鮮のスパイものは今ではあまりにもよくある題材だけど、当時はまだ珍しく、企画段階では、昔よくあった「反共映画か」と言われたりしたそう。
監督が北京に滞在していたとき、北朝鮮の人と初めて会って言葉を交わしたことが脚本執筆のきっかけのひとつらしい。
いまだに休戦中の両国だが、同じ言葉を話し、同じハングルを使う、同じ民族=同胞という視点は、ほとんどの韓国映画、ドラマに共通しているようだが、かつての「反共映画」ではそうではなかったのかもしれない。
もちろんこの映画でも北朝鮮とは鋭く対立しているし、殺し合いに発展するが、北朝鮮の工作員も人間として描かれている。

飽きずにテンポ良く見られるが、アクションを含め、古さは否めない。ストーリーもかなりウェットで無理もある。
それでも民主化宣言から10年ちょっとで、こういう気合いの入った映画を作ることができるのはさすが。監督自身も386世代として韓国映画の黄金期を支えることになる起点のような作品と言えそう。

監督も言及していたが、主要キャストがのちの大物だらけ。ハン・ソッキュは主演作はあったがこれが初期の代表作。チェ・ミンシクもすでに有名だったけど、これからさらに飛躍。ソン・ガンホはまだ脇役時代。全員声がよく、存在感のあるいい顔。キム・ユンジンもよかった。ファン・ジョンミンが端役で出ていたらしいと後で知ったけど、どこにいたんだろう。気づかなかくて残念。
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