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鏡の中にある如くのpikaのレビュー・感想・評価

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)
4.0
ベルイマンによる「神の沈黙」三部作の一作目。

家族を蔑ろにし続けた小説家の父親、不治の精神病を患うその娘、医者である夫、まだうら若き弟の四人が島でバカンス。
四人の関係性、考え方が徐々に輪郭を帯びてくる。
精神病に侵され見えないものが見えてきたときに自分ではなくなる。それは神か幻か。神とは何かを問う。

すんごい。登場人物四人だけ、島という閉鎖された空間のみで十分過ぎるほど満たしてくる。
中華料理の基本が炒飯で日本料理の基本がお吸物だとかシンプルを追求した先に浮き彫りになる、料理人の腕前そのものを見せつけられたかのようなクオリティの高さ。
しかも出汁が多様に絶妙に混ざり合い過ぎて一度見ただけではとても味わい尽くせない濃厚さ。

台詞よりも映像のメタファーで表現してくる凄さに感動する。
蜘蛛とか海とか船とか牛乳とか、象徴で語り観客の意識ではなく無意識下に語りかけてくる演出が、言語化出来ない想いやメッセージを変換せずとも伝えてくれる。
ベルイマンが神か!
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