ギルド

不安は魂を食いつくす/不安と魂のギルドのレビュー・感想・評価

3.8
【幸福が楽しいとは限らない裏側の正体】
■あらすじ
未亡人のエミは掃除婦として働き、子供たちと生活していた。

ある雨の夜、エミは近所の酒場で年下の移民労働者の男性、アリと出会う。愛し合うふたりは瞬く間に結婚を決める仲になるのだが、エミの子供たちや仕事仲間からは冷ややかな目で見られてしまい……

■みどころ
第27回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞に輝いたヒューマンドラマ映画。ダグラス・サークの『天はすべて許し給う』の物語を下敷きに、未亡人と移民が愛し合う事で様々な不慮に見舞われるお話。

幸福が長く続くとは限らない刹那な部分を描いた作品で、時間が解決するが解決するまでには痛みも苦しみも伴う部分が色濃く描かれてる。

階級が異なることや人種の違いによる迫害を受けるというロミジュリ的な話ではあるが、2人だけの愛し合う空間に他者を寄せ付けないような画面配置(レストランのコース料理を食べるシーンとか)や「人生にでもは禁句よ」みたいな人生論を随所に挿話していく渋いテイストでありながらも人種・年齢の垣根を超えた純愛を魅せるシーンは素敵だなと思いました。

幸福は一過性で恐怖を抱くのは自然な事かもしれない…が、その思想が病魔のように社会のコミュニティや人間の内面を蝕む怖さを描いたような、そんな作品。

どんな時でも明るくいこうぜ!と行くのは無理ゲーだけど心構えくらいは努力していこうかなと思いました。
ギルド

ギルド