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これが私の肉体のemilyのレビュー・感想・評価

これが私の肉体(2001年製作の映画)
2.8
パリの名門校に通うアントワーヌ。父親の望むように学校に通っていたが、ある日映画のスカウトを受け、女性監督ルイーズのカメラテストにも合格する。父親は猛反対し、家を出てルイーズの家にお世話になる・・

 俳優陣が豪華だ。アントワーヌを演じるのはルイ・ガレル。青春期独特の不安定感を常に漂わせ、ふてくされた表情が絶品。ルイーズはジェーン・バーキン。誰を愛しているのか全く最後まで読める事なく、ふわふわとアントワーヌを翻弄していく悪女ぶりが素晴らしい。年齢差がありつつも、青と緑のライトの中で二人がキスをするシーンは幻想的で美しい。突き放したり、寄せ付けたり、無意識に恋の駆け引きをしてしまってるのが男からしては歯がゆく手に入れたいと思うのかもしれない。

 かれの嫉妬は不在のルカという存在に対してであるが、次から次とその対象が出てくる。青春期の思い込みとうまく重ね合い、嫉妬が加速していき、サスペンスフルに勝手に展開していくのだ。二人の距離感が絶妙で、じらされ苛立ち、しかしだからこそ追ってしまうのかもしれない。こんなに近くに華麗で若いクララ(メラニー・ロラン)という彼女が居るのに。クララに戻ろうとしたとき、アントワーヌが目にした光景は、どんなに足掻いても手に届かない物があふれているのだ。女の移り気にしっかり翻弄されていくルイ・ガレルの表情とそこからのあきらめの能面な表情に惹きこまれる。
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