あんじょーら

アングスト/不安のあんじょーらのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
2.2
正直、ギャスパー・ノエ監督が大好きな作品、というコメントが寄せられている時点で気づけたはずだぞ、俺!

とのかく時間が無い中で、結構な苦労を重ねて、なんとか劇場に間に合いました。吉祥寺アップリンクは2番館としても機能してくれているのが助かります。

ある実際に起こった殺人事件を再現した、といわれる作品。

衝動殺人を起こし服役している男が仮釈放される。その足で男は妄想通りの殺人を犯すべく、行き当たりばったりの行動に出るのだが・・・というのが冒頭です。



咀嚼音、最高にイイです。役者さん、頑張ってます。靴音もフェティッシュを自覚する私からするとかなりイイですし、ラストの警察官の靴音を明らかに鳴らそうとして歩く姿が一瞬写るのですが、つまり監督として意図してやっているのが素晴らしいと感じました。そして特徴的なカメラワークもどうやって撮っているのか?は不明ですが、好ましい演出方法だと思いますし、この接写は不安感が増しますし、いやがおうにも男と観客の共感性を高めます、全然乗れないけれど。しかも、カメラワークは本当に変わっていて、野外では、かなり遠くから撮っているのですが、男が近づくと、必ず、カメラが遠ざかる連動性を見せていて、これが妙な客観性と言いますか、覗き見感を増します。


と言った具合にすごく拘りがあるので、結構好きな場面もありましたが、最も重要性がある犯行場面の稚拙さ、妙な、結局 見せない 部分、犯人の幼児性の伴った身体的な説得力、が全然合わなかったです。もっと狡猾な部分が観たかったし、入れ歯については、職業上よく知っているので、あまりに綺麗だし、殺害前の人物の歯はどうみても本物なので、すごく興醒めです、絶対本当の義歯装着者を連れてくるべきだったと思います。


あまりに期待値が高いと、やはりダメですね、私の責任です。

しかし、これを何度も見るギャスパー・ノエは、やっぱ分かってない監督だよな・・・人の好き好きだけど、さ。