すずき

アングスト/不安のすずきのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.0
その男は見ず知らずの老婆を殺した。
彼は精神鑑定を希望したが、責任能力に問題なしと認められ、10年の懲役刑を受ける。
そして彼は出所する。
だが刑期を終えた彼の中で殺人欲は際限なく膨れ上がっていた。
彼は自分の欲を満たす計画を実行する為、その獲物を探す…

実在の殺人鬼を基にしたオーストリア映画。
なんだかどっと疲れた、高ストレスな映画で、まさしく「不安」を感じる作品。

彼の殺害の手際は全く鮮やかではなく、「理想」と「計画」を履き違えた杜撰でgdgdな犯行。
人を1人殺すのも一苦労の、汗びっしょりの肉体労働。
そしてその様子を、俯瞰的に冷たく捉える淡々とした撮影は、爽快さのカケラも感じられないリアルな映像。
息切れしながらのし掛かり、必死になって人を殺すその殺害シーンはセックスの暗喩にも見える。
だが、それで快感を得ているのは彼1人で、こちらは全く感情移入が出来ない。だが過剰に恐怖を煽る訳でもなく、ある意味、公平で誠実な作りなのかも。

しかし、死体を二階から車庫に運んで車に乗せて、という地味な作業を長々と見せるシーンは、流石に眠気が…。
エンタメ性は皆無に近いので、見る人は選ぶ作品だった。