真世紀

ザ・ホード -死霊の大群-の真世紀のレビュー・感想・評価

ザ・ホード -死霊の大群-(2009年製作の映画)
4.2
映画は葬儀の場面にはじまる。殺された仲間の仇討ちのためにナイジェリア人兄弟の仕切る一味がアジトにする荒廃したビルに襲撃をかける刑事達。敵のいる最上階までたどりつくも返り討ちに遭うかというその時、ゾンビ化現象勃発。外を観ればパリあちらこちら噴煙をあげ、街頭には血に飢えて吠え、疾走するゾンビの皆さん。

黒人兄弟、曽根晴美似のチンピラ、殺された男の不倫相手の女刑事ら警察側、合流したビル住民のベトナム帰りジジイと何かあれば銃向けあいな呉越同舟でビルからの脱出をめざす羽目に。

斧、拳銃、重機までも繰り出しての対ゾンビの群れの戦いもさりながら、刑事達の間も一丸というわけではなかったり、両膝撃ち抜いた女ゾンビをなぶる弟達に黒人兄が怒り、ゾンビの頭撃ち抜いて「楽しかったか、見下して。満足か。俺たちが祖国で何をされたか忘れたのか」と説教かます横でジジイが「いい体してるぜ、グヘヘ」と女ゾンビの服剥いでたり、人物描写も凡百の粗製濫造ゾンビ映画と一味違い、なかなかの暗黒具合。

ビル内駐車場、足止め役に回った刑事が車の上に駆け上がり、四方八方十重に囲むゾンビの群れに銃弾打ち込み、ナタ振り回し、果ては肉弾で立ち向かう場面はゾンビ映画史に残る語り草。そしてラストも、ああ、フランス映画っぽいよなぁ、と思わせるビターな女刑事の選択。今年(2010年)観たゾンビ映画のベストか。
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