NIELSEN堀内

若者のすべてのNIELSEN堀内のレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
3.3
ルキノ・ヴィスコンティ監督作品は貴族社会や富豪の世界を描く内容が多いのですが、今作はイタリアの労働者階級の家族の模様。南部と北部の格差も漂わせて善と悪、栄光と堕落を家族中心に対比させて行く。

過去に囚われる母親、結婚して自分の家族の事で精一杯の長男、次男のシモーネは救いようの無い自堕落人間、三男のロッソは聖人の様でもあるがその赦しが周りの人を不幸にする。四男のニーロはとても常識があり現実を客観的に捉えていた。娼婦であったナディアが此の作品の被害者であるのは明らかでその扱いが微妙ではありました。

三男のロッソを演じたアラン・ドロンの長い睫毛と頬を伝う涙の何と美しい事か…。顔のアップからカット割がもうヴィスコンティの美学が匂い立つレベル。

五男のルーカがニーロと話をするラストでやっと家族の輪を俯瞰しながら全体を見渡せられ、納得させられる秀作。
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