チッコーネ

ヒマラヤ、風がとどまる所のチッコーネのレビュー・感想・評価

ヒマラヤ、風がとどまる所(2008年製作の映画)
3.0
『スクリーンクオータ死守』に率先して参加し、『オールドボーイ』で国から授けられた勲章まで返還した代償か、映画界から数年姿を消していたチェ・ミンシクの復帰作。
韓国メジャー映画の中心で輝いていた彼がインディの雄と組んだ作品で(チョン・イルスでなくスイルですよ、フィルマークス)、冒頭以外オールネパールロケ。
しかもカトマンドゥなどの都会ではなく、ヒマラヤ山脈の麓という特異なロケーションだ。
エキゾチズムはいやがうえにも高まり、印象派の絵画のように美しい実景の中でまどろむミンシク先生の図も。
また娯楽なく、若者は出払った過疎地で過ごす人々の生活、そして一妻多夫の不可思議な習慣などが垣間見えてくる。

相変わらず哀愁漂うアジョシぶりが板に付いたミンシクだが、クローズアップが少ない撮影法ゆえか、漂泊された姿ばかりが印象的。
その去就は当時の俳優人生とオーバーラップしているようでもあり、本作のテーマを緩やかに体現していく。
また他作でそれほど目立たない高身長が、引きの画面でよくわかる。