むっしゅたいやき

醜い奴、汚い奴、悪い奴のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

醜い奴、汚い奴、悪い奴(1976年製作の映画)
3.8
70年代のローマ貧民街、大家族の猥雑な生活を表したドラマ作品である。
エットーレ・スコラ。
ニーノ・マンフレディに依る極悪オヤジの演技には、失笑させて貰った。

フェンスの向う側のブロックを、何とか手に入れようとした子供が、いざ手に入れてみるや否や詰まらなそうに放り投げてしまう姿に、此の作品の主題が詰って居るのであろうか。

スコラの作品には、イタリア社会に於ける下層市民の本質的な生活の姿と、彼等の間に在る愛情、悲喜こもごもを、温かく捉え表現する傾向が見られる。
其の中に在って本作は、家族間の愛憎をドライに表現し、更に其れを通して「金銭と幸福との相関性」や、「貧困と当人の人格との適格性」、「貧困の再生産」と云う社会性をも問うた作品として、或る種特異な位置を占める。

バスの屋上に乗る家族を、海を背景としロングで捉えたショットに、何故か一抹の哀しみを覚える作品である。
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