クシーくん

吸血鬼シニスターの復讐のクシーくんのレビュー・感想・評価

吸血鬼シニスターの復讐(1965年製作の映画)
3.1
B級映画ばかり撮っていたランス・コンフォート監督晩年の作品。可もなく不可もない低予算吸血鬼映画。

主人公が吸血鬼シニストレ(シニスター)の存在に辿り着くまでが長く、何度も必要のない脱線をするため、話がごちゃごちゃしていて分かりにくい。演出がどうにも地味で、冗長過ぎる話にアクセントを加える為か、ジャンプスケアを一回挟むのもまた陳腐。ヒロインが出てきたのは良いのだが、主人公との絡みがほとんど無いまま吸血鬼に魅入られてしまい、関係性を深く描けないまま物語が進行してしまう為、助ける動機もだいぶ弱い。総じて印象の薄い映画だった。

1960年代イギリスといえばハマー・フィルム全盛だが、本作はプラネット・フィルムという聞いた事のない製作・配給会社で、ハマー同様1960~1970年代に活動していたようだが、その後杏として消息が知れない。

吸血鬼映画ではあるが、シニストレはドラキュラ伯爵のように歯が尖っているという事もなく、夕暮れ時ぐらいには普通に現れている上、演じるユベール・ノエルの顔貌がつやつやした卵型、ナポレオン・ソロ系の顔立ちなので、優美さは備えているもののクリストファー・リーのようなおどろおどろしさや野卑な迫力に乏しい。

「実は関係者の大半がカルト教団の仲間でした」という展開は若干ギャグ味すら感じるものの、この人もカルトでした!という怖さと得体の知れなさは正直吸血鬼的ホラーよりも肉薄する。

例によってB級映画なので、「2001年宇宙の旅」でヘイウッド博士を演じたウィリアム・シルベスターがかろうじて見た事がある程度で、ほとんど見た憶えも聞いた憶えもない俳優ばかりだった。
タニア役のキャロル・グレイは頬骨の上がったエキゾチックな風貌だが別にジプシーとかではなく、普通にイギリス系南アフリカ人らしい。最初のジプシーのシーンはいかにもステレオタイプだけど悪くなかった。
クシーくん

クシーくん