クシーくん

七つの錠のある扉のクシーくんのレビュー・感想・評価

七つの錠のある扉(1940年製作の映画)
3.4
「キング・コング」で有名な売れっ子作家エドガー・ウォーレスによる、同名小説原作の英国製サスペンス。公式にはホラー映画という事になってるけど、ホラー要素はそんなでもないサスペンス。

さる老大富豪が亡くなり、遺言に従って宝石と共に7つの錠のある墓に埋葬された。遺産は一部を除き、全て幼い息子ジョンに、もしジョンが亡くなった場合はカナダに住むいとこの娘ジューンに行くという条件で、鍵は管財人に渡された。時は経ち、カナダからロンドンにやってきたジューンは、ふとしたきっかけから殺人事件を目撃し、やがて7つの鍵を巡る陰謀に巻き込まれていく…という話。

マネッタ医師にレスリー・バンクス、主人公にリリー・パルマーが出ている以外は少々地味なキャスティングだが、ミステリも練られた、なかなか良く出来た脚本なので退屈する事はなかった。

拷問器具の蒐集が趣味だというマネット医師のコレクションが開陳され、ボルジア家の毒杯やマネキン型のアイアン・メイデンなど怪奇映画的プロップにも余念がない。
おどろおどろしい雰囲気もある中で、基本的には明るく前向きな主人公に、頼れるハンサムな元刑事とのロマンスあり、ついでについてきたギャグ枠の女友達が分かったような分からないようなギャグを飛ばしまくるので、陰鬱な雰囲気にはならず、ホラーというより、古き良き冒険小説という趣すら感じる。タンタンの冒険とか好きな人には刺さりそう。

地味にアクションは頑張っていた。相手が銃を突きつけてきた時の対処法や、咄嗟にある物を投げた時の、コンビの息があった漫画的な描写が楽しい。
クシーくん

クシーくん