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愛と殺意のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

愛と殺意(1950年製作の映画)
3.0
[邦題にご注意] 60点

この映画を上映するという告知を受けた瞬間から楽しみにしており、なんなら新文芸坐の職員の人に苦笑されながらも前売り券発売当日の朝っぱらから一人で1時間並んでた(から当然1番目だった)けど、いったい何を期待していたのか分からなくなるほど私には響かなかった。でも、この企画を走らせて下さった大寺さんには圧倒的感謝を捧げる。

正直なところ、本作品を絞ってアントニオーニのエキスを見つけるくらいなら、ブイブイいわせてた頃のアントニオーニ作品を見て”愛って不毛だなー”と思ったほうが100倍くらい有益だし、私はまだまだアマチュアだからそこまで高尚な遊びには参加できないよ。なんとなく、そういうところが映画ファンの閉鎖的な部分な気がした。
でも、アントニオーニって言われなかったら気が付かないんじゃないのとかイジワル言ってみたくなるのが天邪鬼。最低ですね、反省します。

内容は不倫して云々というよくある話だけど、邦題の「愛と殺意」は完全なミスリーディング。ただでさえ不安定なストーリーラインなのに邦題にまで裏切られていたたまれない気持ちになった。普通「愛と殺意」って聴くと”人間の内包する狂気を境に愛と殺意って接してるよね”という話に帰着すると思うけど、本作品は”私愛してるなら夫殺しちゃえ”になって、オイオイと。

上映後の大寺さんの講義は非常にためになった。講義であんな真剣にメモとったの大学1年以来で、その事実に悲しくなった。「イカリエXB-1」のときほど私に熱量がないから載せることはしないけど(他の方があげてくださってるので)、1時間休みなく話せる量があるほどアントニオーニってすごい人なんだなぁと感心。

結論、愛は不毛だよとかアントニオーニの片鱗が既に見えるとか言われても響かないものは響かないから許して。

追記
でも何よりも面白いのは、いつもレビューを読ませていただいておるレビュアーの方々がこぞってあの空間にいらっしゃったってことだね。
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