りりー

TOMORROW パーマネントライフを探してのりりーのレビュー・感想・評価

4.5
素晴らしかった!”現在のライフスタイルを続けると、近い将来人類は滅亡する”。そんなショッキングな記事を目にしたメラニー・ロランとシリル・ディオンは、映画製作の仲間たちと”世界を変える方法”を探す旅に出る。
彼らは「食物」、「エネルギー」、「経済」、「民主主義」、「教育」の五つの視点から、世界でいま起きていることを見つめ直していく。

前半は、こんな取り組みがあるのか!という驚きとともに見ていたのだけれど、その流れが民主主義に連なったあたりから涙が止まらなくなってしまった。
いますぐ世界を変える術はない。けれど、いつか世界を救うかもしれないアイディアを生み出し育むのは、寛容さと多様性、そしてその先にある共生だ。あなたとわたしは違う人間で、違う能力を持っている。わたしたちが手を取り合えば、新たなアイディアが生まれるかもしれない。そうして世界中の人々が手を取り合っていけたら。明日はきっと、今日より良い日になる。そんな真っ当さがたまらなくすきだった。

そもそもこのドキュメンタリーは、当時妊娠していたメラニー・ロランが、近々産まれてくる息子の生きる世界を案じたことに始まっているが(彼女の仲間たちも大半が親である)、そのような起点が最後のパート「教育」で”子供たちがどう生きていくか”、”そのために大人は何をするべきか”という問いに繋がっていくところも良い。子供たちの学ぶ力を養い、寛容さを育てること。それはきっといつか世界を救うことに繋がる。最後まで観ると、どのパートにおいても寛容さと多様性がキーだったことがわかる。劇中の出来事は全部現実に起きたことなんだよね、映画じゃないんだよね、そう思うとたまらない。希望はやっぱりあるんだよ。
2014年の製作ながら昨年末やっと日本公開に至った本作だが、むしろトランプ大統領誕生という悪夢が世界を覆ういまこそが、公開の絶好のタイミングだったようだ。いま観るべきドキュメンタリー。
りりー

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