円柱野郎

イノセンスの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

イノセンス(2004年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」から9年。
見比べると映像表現の進化ぶりに冒頭から驚かされます。
正直、予告編ではキャラクターと背景CGのギャップが目立って見えて「なんだか浮いてるなあ」なんて思ってたけど、実際に観てみると見事に融合してます。
しかも「浮いてる」と思えたシーンにもちゃんとストーリー上に訳があるわけで、あのわざとらしい背景が何とも上手い。
CGだと思っていた車やガイノイドが、実はちゃんと絵で描かれていたりするんですが、一見すると見間違えますわw

今作のテーマは「人形」。
押井監督の長年撮りたかったテーマだったらしいけど、これでもかという位に語りかけてくる哲学的な台詞を拾い切るのはなかなか大変。でも解説が必要というか、ちゃんと重要なことは検死官ハサウェイやハッカーのキムの主張の様に映画の中で台詞として出てきているわけだし、それが受け止められれば問題ないかな。

人間の理想型を模した“人形”と、生物として象徴的に描かれる“犬”。
犬を抱くバトー(人形)と、トグサの娘が抱く人形の対比がストレートに訴えかけますわ。

しかし、前作で草薙を失ったバトーの気持ちは如何ばかりか。
哀愁漂うバトーの姿、いつまでも想ってるんですね。
ネットに繋いだとき、彼女はバトーを見守っているし、バトーもその存在には気づいてるんやろう。
彼らは肉体を喪失しているし、もはや精神的な繋がりのみと考えれば、これは究極のプラトニックな関係ですな。
でも、俺には肯定的に受け止められます。
テーマソングが草薙の気持ちと考えれば、やっぱりラブストーリーですね、この映画。
円柱野郎

円柱野郎