みむさん

ベルリン陥落 1945のみむさんのレビュー・感想・評価

ベルリン陥落 1945(2008年製作の映画)
3.5
これはあまりにも酷いパッケージだな。良作なのに鑑賞機会を奪ってしまってるとしか思えない。こんなシーンも無いし戦争アクション映画ではない。

ニーナ・ホス主演、アウグスト・ディール共演。
一人の女性視線で描く敗戦国ドイツベルリン市街地の惨状。
ベルリン陥落後、街にのさばるソ連兵の蛮行から身を護るため交渉役愛人役を買って出た女性の物語。
匿名の手記が元にした話。(Anonyma – Eine Frau in Berlin「ベルリン終戦日記―ある女性の記録」で邦訳版も出ている)
手記公表時に「ドイツの恥」と非難されたためその後もずっと匿名のままだったらしい。

ドイツ兵の夫を送り出したジャーナリストの主人公、ロシア語を話すことができたため、街を制圧して蛮行を働くソ連兵たちを止めようと交渉に行くが暴行されてしまう。

第二次大戦ドイツを描く話は圧倒的にナチスの話が多いが、これはそんなドイツの戦争余波で市民(とくに女性)が理不尽な蛮行にあう話。
敗戦して戻ってきたドイツ兵たちの姿も痛々しい。せっかく再会できるというのにこの双方の状況……

やはり戦争は勝ち負けだけではなく、多大な傷跡を残すと改めて思わされる作品。

主演のニーナ・ホスがすばらしい。そして放心状態のドイツ兵の夫を演じたアウグスト・ディールがまた上手すぎる…。