emily

さらば恋の日のemilyのレビュー・感想・評価

さらば恋の日(1969年製作の映画)
2.4
11月のシシリー。17歳のニーノは家族や親戚一同と別荘を訪れる。従妹のジュリエッタと仲良くしていたが、遅れて叔母チェッティーナが到着し、その美しさに魅せられる。彼女は夫がいながら同僚とも情事を重ねていた。叔母との関係は徐々に発展していき、ニーノも幸せをかみしめていた。しかし浮気の現場を見てしまい、叔母の頬を殴るのだった。そうして一秋の情事は彼を大人への成長へと誘うのだった。

誰しもが年の離れた、自分と違う環境下に住む異性に憧れや恋心を描いたことがあるだろう。年上のしかも夫もいながら不倫もしている女性に惹かれる17歳の青年の言動を丁寧に描写し、勝手な独占欲に翻弄され、一途な気持ちの上に成り立つ行動の数々はみずみずしく、痛みを帯びて訴えかけてくる。

チェッティーナ演じるジーナ・ロロブリジダは魅惑な色気を放っており、罪な思わせぶりな態度に少年はどんどんはまっていくのだ。水が下着越しに伝い、息遣いやくねり具合に、多種多様な鏡を使っての演出にいろんな顔の叔母の色気を堪能し、ニーノの舞い上がる姿に共感を覚える。男との情事を盗み見してしまうシーンでは光と影が効果的に働き、ガラス越しに人物が何重にも重なり、彼の不信感と溶け合っていき、不穏な音楽もサスペンス感を煽り、先行していく。

叔母との一秋の恋は、同時に母に対する思いからの解放とも重なる。恋に恋する季節。恋に溺れるひと時があって大切な人を大事にすること、そうして自分自身とも向き合えるのだろう。
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