イルーナ

ジョニー・ディスティニーのイルーナのレビュー・感想・評価

ジョニー・ディスティニー(1995年製作の映画)
1.0
それは学生時代、タランティーノ作品にハマっていた時のこと。
当時あったツタヤの「名作コーナー」に、『ジョニー・ディスティニー』なる見慣れないタイトルが。
「こんな映画全然聞いたことないぞ?でも、タランティーノ出演だしとりあえず押さえておくか。わざわざ“名作コーナー”に置くくらいなら掘り出し物かもしれないし」
そう思って借りたのですが……

まず、ストーリーは以下の通り。

銀行強盗で服役中だったジュリアンはまんまと脱獄。相棒から金を受け取り、恋人と国外逃亡するためラスベガスへと向かう。
その道中、謎の男ジョニー・ディスティニーと出会いヒッチハイクしてもらうが、ラスベガスへ着くと思わぬ事態が。
恋人は金持ちの愛人になった挙句、金はそのジョニー・ディスティニーに奪われたという。
それを聞いたジュリアンは、ジョニー・ディスティニーを探して街を奔走する……

これだけ聞くとクライム・コメディって感じですよね?
ところがこれ、絵面からは全く想像できないファンタジー映画でもあります。
……タランティーノでファンタジー映画……?!
そもそもクライム+ファンタジーという時点で凄惨な合体事故を起こしている。
いかにして過酷なアウトローの道を生きるかがクライムものの醍醐味だと思うのですが、そこに非現実が混ざるファンタジーはそりゃ合わないでしょう。
で、タランティーノが演じるジョニー・ディスティニーの正体は「異世界からラスベガスにやってきた、人の運命にイタズラする精霊(マニトウ)」。
………は?
もうミスマッチもいいとこな唖然茫然な設定ですが、異世界からの出入り場所はプール。
勘のいい方は嫌な予感がしたかもしれません。つまり、わざわざ誰得極まりないタランティーノの全裸シーンを2度も見せつけてくるということ!
この光景がもうあまりにも悪夢じみていて冗談抜きで気持ち悪くなった……
しかも主役のバカップルは結局現実世界で詰んだので、こいつについて行ってしまうというオチ。
一体どこが「夢の街ラスベガスに奇蹟が起こる!」なんだ?!

日本ではほぼ知られてない作品ですが、こいつはもう駄作凡作の域を超えた「特級呪物」でした。
実際、ロッテントマトやIMDbなどの評価を見たらまあ低い低い……日本で劇場公開されなくてよかった。
誰だこんな代物を「名作コーナー」に置いた奴は?!
イルーナ

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