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動くな、死ね、甦れ!のkyokoのレビュー・感想・評価

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
3.8
「大人は判ってくれない」の教師や母親を連想させる設定。ずいぶん昔に「大人は~」を観たときはなんだかわからないけれどとにかく余韻を引きずったことを覚えている。今作はそこまでではなかったものの、1989年制作とは思えぬ時代表現で、極東の寒々しさ、政治的な不穏さと同時に、この時代の子どものふてぶてしさ、たくましさを強い画力でうったえてくる。この映画が作られたほんの3年前、ソ連が崩壊した1986年まで数多くの強制収容所が存在していたことを考えるとそれも納得できる気がした。

ワレルカも良かったがガリーヤが印象的だった。手のかかるガキんちょワレルカの、彼女はまさに守護天使。機関車の車輪ごしに笑いあうふたりが可愛かった。

はじめからメタフィクションをはっきり打ち出していたのに、それをすっかり忘れてしまい、中盤なんども子どもの声に被ってくる大人の声にいちいち違和感を持ちつつ、ラストで「あーそうか」と気づく。なんでラストはあんなに長廻ししたんだろう。その意図が私にはわからなかった。
カネフスキー三部作を観れば分かるのかもしれないので、気力体力があるときに挑みたい。
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