Qちゃん

ヤン・シュワンクマイエル短篇集のQちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
私が観たのはアメリカで売られている短編集で、これではないのだけど…。とにかく、私の初・シュヴァンクマイエル。でも、初のはずなのに、あの気持ち悪い荒削りの人形やカメラワークは、子供の頃になんか観た事あるような気が…。

私が観た短編集に含まれていたのは"A game with stones,""Punch & Judy,""Et Cetera,""Picnic with Weissmann,""the Flat,""a Quiet Week in the House,""the Fall of the House of Usher"。

"Punch & Judy"はエグイ人形劇を通して人間の欲望の恐ろしさ、凄まじさ、執念深さを示していた。人形が不気味な上に、取り合いの原因になるハムスターの撮り方も気持ち悪い。セリフなしに映像と効果音だけでこれだけ意味を明確に伝えられるのは凄いと思う。

"Et Cetera"は短い個別のアニメが幾つも出てくるのだが、それぞれが人間の持つ皮肉な性を示していて興味深い(「獣をこき使う人間の本質が獣だ」や「平穏を築こうとする端から人間は争い、全てを無にする」など)。

"Picnic with Weissmann"は初め今一つ意味が分からなかったのだが、最後の最後に衝撃の判明。正直「ギョッ!!」とした。物を当たり前のように消費し続ける人間への、物の復讐だったらしい…。

"A Quiet Week in the House"では、1週間各部屋で起っている人間の行為のエグさを抽象的なイメージで示していると思われる。それらを全て観た男が最後、その家に爆弾を仕掛けて去って行く様子は示唆的。

"アッシャー家の崩壊"では、同名の小説を授業で「映画にするならどういうアプローチをするか」と考えさせられた事があったが、今回「なるほど、こういうアプローチもあるのかー」と感心させられた。人間を全く使わず、全てナレーションと抽象的な映像だけで全てを表してしまっていた。さすが。
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