こぅ

脱獄の掟のこぅのレビュー・感想・評価

脱獄の掟(1948年製作の映画)
4.3
アンソニー・マン監督作品初鑑賞で、【フィルム
・ノワール】。

タイトルの脱獄過程を、、では無く、その後の
【逃走、復讐劇】を描いている。

元ギャングのジョー(デニス・オキーフ)は、恋人のパット(クレア・トレヴァー)の手を借りて脱獄する。途中弁護士のアン(マーシャ・ハント)を巻き込み逃走する3人だったが、ギャングのボス、リック(レイモンド・バー)が、彼を殺そと待ち構えていた…。

終始ナレーションを担当しているパットの物語
(女心)とも言えそうだ。

冒頭からサクサクとアップテンポ82分の尺で、
逃げる、追う、怯えながら迎え撃つ、の中に
しっかり緩急(ロマンス)もあって、二転三転の
スリルに満ち、満腹になる脚本。そもそも敵対する
女2人との3人で逃亡ってのが、ユニーク。

序盤のジョーの脱獄を待つパットの緊張の機微を
表す演出が冴えている。

リックの非情さを簡潔に、明日は我が身、を暗示
させるシークエンスも抜かりない。

そして、中盤辺りのアンのジョーへの想いが露わに
なる重要なシークエンスと、その時の彼女のアップ
が美麗だ。

信念あるギャングのデニスを始め、クレアと、
マーシャの美女に、非情なボスを演じたレイモンド
も印象を残す。

カメラは極力動かさない、無駄を省いた構図が
特徴。加えて、夜パートの部屋のライティング
(陰影)や、終盤のほぼ濃霧の撮影が美しい。
特にクライマックス前の船内でのジョーとパットの
会話で、彼を見透かし彼女の表情を捉えたシーク
エンスが印象的。

男同士の決着が非情なら、女同士の決着もまた
非情だ。


ラストは、、その【答】であろう。
こぅ

こぅ