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恋のミニスカ ウエポンのlotusのレビュー・感想・評価

恋のミニスカ ウエポン(2004年製作の映画)
3.8
このところ、デボン青木がAcneやMet Galaでカムバックしているので、懐かしくなって出演映画を探して本作を見た。

簡単にいうと、アメリカ学園ものとチャーリーズ•エンジェルを足して割ったみたいな作品なんだけど、20年近くも前に女の子同士の恋愛で軽いロマコメが作られているのが新鮮に感じた。

と言うのも、この10年くらいはセクシャルマイノリティとして生きることの葛藤に重点をおいた作品が多かった気がするので。

ちなみにこの作品は2004年に公開(アメリカ)、ちょうど『Lの世界』も2004年公開で一大ブームになっていたが、監督のアンジェラ•ロビンソンは『Lの世界』にも関わっていたらしい。

主人公は主に4人エイミー、マックス、ドミニク、ジャネットだ。
D.E.B.S(Descipline. Energy. Beauty. Strength.の略)というスパイ養成学校のようなところに通っている。(ちなみに女性しかいない機関。映画全体も、女性による、女性のための映画、という感じで男性は添え物的に存在している)

アメリカで大学に入るためにはSATという共通試験を受けないとだめなんだけど、実はこの試験がD.E.B.S.へのリクルートのための試験にもなっているという設定。

ある日、ルーシー•ダイアモンド(すごい名前ですね。しかも、去り際にダイアモンドをばら撒いたりする。ルーシー•イン•ザ、、)という、遭遇すると生きては帰れないと言われる大悪党がアメリカに戻ってきたという情報が入り、主人公4人が招集される。

主人公の1人のエイミーには彼氏がいたけれど、ルーシーを監視するミッションの直前に別れてしまう。そして、単に優しい人と付き合うのではなく、本当の恋がしたい、という気持ちになる。

一方、ルーシーは、数年前に失恋してからというもの、立ち直れずに破壊的な行動と悪事を重ね、誰にも心を開けず、この数年恋人がいない。仲間にロシアの美しい殺し屋とのブラインド•デートをお膳立てしてもらったが、実際に恋に落ちたのは、ミッションで監視に来ていたエイミーだ。

ルーシーは久しぶりの恋に浮き足立つが、エイミーは優秀なD.E.B.T.の一員としてやってきたため、ルーシーに惹かれながらも踏み込めない。(ちなみに、恋の相手が女性であることに葛藤する描写はなく、あくまで職業倫理における葛藤が描かれる)

けれども、ルーシーといる時が一番自分らしくいられると気づいたエイミーはついにその恋心を認める。同時に、自分が本当にやりたいのは美術学校に通うことで、よく基準もわからない試験で適性を認められたからといってスパイを続けるのは本望ではないことにも気づく。

学園ものとアクションものが一緒になったような映画なので気楽に見れるのだが、上記のような感じで、人を愛することや、他者の基準ではなく自分で自分を認めることが描かれている。

女性が女性を好きになることを特別なことのようには描いておらず、ベタなアメリカ学園ものフォーマットにうまく載せていることが2020年代では逆に新鮮に感じる。

邦題がヘンテコだけれど(恋するミニスカ•ウェポンって。。ダサすぎないか??)おもしろかった。

そして当初の目的だったデボン青木も最高だった。学校に入っていく時のウォーキングが、やっぱりプロだね!って感じで素晴らしかったし、なぜかフランス語訛りの英語も似合ってた。
くわえタバコも似合ってたし、朝ごはんにコーヒーだけ、というのもよかった。(めっちゃ90年代スーパーモデル的)

主人公4人のY2Kファッションがキマッてて、同じ制服(ブルーのチェックのミニスカートにネクタイ)をそれぞれの個性に合わせて着崩してるのもよいし、4人が乗っているのがフォルクスワーゲンのビートル•カブリオレ(多分)というのもよかった。

アメリカ学園ものの映画としてあまり有名でない気がするけど(「クルーレス」あたりが一番有名か?)、何周か回ってかえって新鮮なので、単にファッションの観点からだけではなく、もう一度見直されてもよい映画だと思う。
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