タキ

華麗なるギャツビーのタキのネタバレレビュー・内容・結末

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

生まれてきた娘に美しいおバカさんであれと望むデイジー。それは取りも直さず自分の人生にかけた呪いの言葉だ。
1920年代当時、女性が選択できる道はそれほど多くはない。結婚して家庭を持ち夫に従う人生が大方ではないだろうか。デイジーもマートルも当たり前のように自分が置かれた場所に馴染み、離婚を考えるほどのハッキリとした不満もなく、だが現状に満足はしていない。悪女ではなくただ流されて生きているどこにでもいそうな女性だった。ふたりとも何を掴み取ることもなくひとりは死に、ひとりはまた変わらぬ日常に戻っていく。プロゴルファーだというジョーダンだけが唯一誰にも翻弄されず、彼女を見ていると結婚の墓場感がさらに増すのだった。
美しいおバカさんが板についてしまった女に一途に恋焦がれる男をレオナルドディカプリオが演じる。久々に美しいディカプリオを見た。オジサンになってもその華やかさは1ミリも減退していないしハイブランドをまとうパリピを抑えてこれほどセンターが似合う人はいない。ニック役のトビー・マグワイヤーがまた絶妙な地味さ加減で、ピーターパーカーの頃からまったく変わってなくて懐かしさすら感じる。
ギャツビーはブキャナン夫妻に殺されたと言っても過言ではないが、過去を求めるという見果てぬ夢の真っ只中で逝ってしまったことがせめてもの慰めだった。
当たり前しかないこの世に破格の夢見る力を持つことの気高さをたったひとりの人間しか記憶に留めなかった切なさはニックが付けたGreatの文字に込められている。
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