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白いカラスのmiiのレビュー・感想・評価

白いカラス(2003年製作の映画)
3.8
雪に覆われた地である事もあり
とても冷え冷えとした 哀しみが漂う物語だった。

大学の古典文学教授であったコールマン·シルク(アンソニー・ホプキンス)は
「spook」という人種差別発言で咎められて 大学を去る事になり
妻も亡くしてしまう。

ひょんな事から出会ったフォーニア・ファーリー(ニコール・キッドマン)に心が惹かれていく。
彼女は過去の不幸から 影のある女性。
元夫のレスター・フォーリー(エド・ハリス)に執拗に付き纏われていた。

作家のザッカーマン(ゲイリー・シニーズ)と友人になり
彼はシルクの「白いカラス」肌の色についての秘密を知り
後に 彼の半生を執筆する事になります。

「白いカラス」とは シルクとフォーニアをも指しており
2人の生い立ちに関係します。

シルクが自分の意思で やりたい道に進めなかった事や
過去の女性を助けられなかった事
それらがあったから 晩年に出会った彼女を助けたかったのだと思う。

フォーニアの夫レスターもまた
身体も心も傷ついて ベトナム戦争から帰還したその上に
子供たちの死というショッキングな出来事から
あのような事に繋がってしまったのだと思う。
妻に対して 相当酷い事をしてきた彼だけども
子供たちの死がなかったら このようにはならなかったかもしれない。

人種差別と過去に縛られて藻掻く者たちの物語。
あの事故は 自由に羽ばたく事が出来ない2人の心中のようにも思えました。

「グリーンマイル」でも流れた「Cheek To Cheek(アーヴィング・バーリン)」の曲で
アンソニー・ホプキンスが踊っていたのが印象に残る。
楽しそうに踊っているのが微笑ましく(特にゲイリー・シニーズ)
ここだけが 唯一温かかった。
mii

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