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96時間 リベンジのしゃにむのレビュー・感想・評価

96時間 リベンジ(2012年製作の映画)
3.5
「もうこれくらいにしておこうと思っても、ついつい殺り過ぎちゃうんだ」(照れ)


鬼子父神リーアム・ニーソンの荒ぶる怒りに畏怖する天罰ディザスター映画第2弾。

娘を悪の手から取り戻す筋書きは筋肉教典「コマンドー」を彷彿させますが、こちらはより人間臭さを残した(建前では)親しみやすいお手軽なシリーズとなっています。

リーアム・ニーソンが普通の人間でないのは周知の事実でしょう。平素は見事に一般的な俳優を演ずる為に気づきませんが、時たま力み過ぎて「殺り過ぎ」て少々本領発揮してしまうことがあります。96時間シリーズは彼の神通力が顕著に表れる代表的作品です。リーアム・ニーソンはコリン・ファース(コリン星出身)のように異星人説が有力です(嘘) 地球人にしては甚だ人間離れている感があるから致し方ありません。平均的地球人を演ずるには力の調節が難しいが為についつい本領発揮してしまい、それが大衆ウケするから本人も戸惑っていることでしょう。

今回は愛妻(災)家としての一面が強調されている印象です。とりあえず身内が拉致されたらリーアム氏のリミッターが解除されて惨劇が繰り広げられるテンプレの完成です。

前作で娘を誘拐した輩を1匹残らず地獄へ案内したブライアンに再び災難(敵への?)が降りかかります。ブライアンに息子を酷い(ある意味同情しますが相手が悪い)殺し方された親父のリベンジ・ファイト。簡単に言えば、復讐VS復讐という構図が浮かび上がります。相手がリーアムという事実を深く考えないところがこの親にして息子あり…です。

娘の彼氏の登場に動揺を隠せない(劇中一番のダメージ)ブライアン氏やら嫁さんとヨリを戻せそうなブライアン氏やら家族との交流が無難に描かれた序盤は微笑ましい。鬼神の数少ない人間らしいシーンです。

そして性懲りも無く誘拐…絶対的安堵感があるからハラハラしません。

「パパとママは(一応)今から誘拐されるからね」

娘に見せ場を作るため前フリするブライアン…ナイスです。今回はブライアンの娘にも物騒な出番が回ってくるのが魅力的ですね。市街地で手榴弾をポンポン投げる娘を持つ親父はブライアンくらいでしょう。

時たま見せるリーアム氏の神通力が今回の魅力であります。

狭い路地で車を走らせると三方から車に突進されます。逃げ場も逃げる暇まないのですが車内を見るともぬけの殻…神出鬼没です。

リーアム氏が誘拐犯が秘密裏にロビーで蠢くのを瞬時に見つける俊敏さには誘拐犯もたじろく。光の速さで誘拐犯の悪巧みを察知する俊敏さには誘拐犯に同情せざるを得ない。

また(一応)拉致される時に移動距離や曲がった位置や回数を脳裏に刻みつけて地図を頭の中に描きます。拘束されながらもナイスな手際で娘に電話して頼んだのが「今すぐ手榴弾を投げてくれ」です。娘はためらいもなく手榴弾を駐車場に投げて誰かの車を爆破します。いえ、破壊目的に投げたのではないのです。親父の場所に爆発音が達する時間から娘までの距離を計算するわけです。脳筋じゃありません。怖すぎる。それからも娘にじゃんじゃん手榴弾を投げさせます。賢い(震え)

他にも走行中に華麗に連続ヘッドショットを決めたり、大使館へ逃げ込んで「爆破テロ犯」呼ばわりされたり、パトカーと愉快な地獄のカーチェイスしたりとリーアム氏がやんごとなき遊びに興じます。派手さは前作より多少増し増し?的な印象でした。

「俺は骨に喰らいつく犬だ。一度喰らいついたら二度と離さない」

と語る何気ない台詞へ実は最大の愛がこもった台詞です。無駄な殺生はしたくないのです。しかし人間は愚かなもので荒神リーアム氏を打ち負かそうと案の定の無益な行動を取ります。結果はお察しでしょう。ミクロな視点で見れば、超人的人間の殺戮ショーですがマクロ視点で見るともはや天罰です。そうリーアム氏が強過ぎてお話になりません。

「会えて嬉しいよ」(ミシミシ)

ラストの娘の彼氏との握手で彼氏も実は人間でないのかという疑惑が浮上します。力加減が下手なリーアム氏と平気そうな表情で握手出来るのだから少なくとも凡人ではないようです。It's a small world .劇中でリーアム氏の次に強いのはひょっとしたら彼氏かも。

にしても邦題は…もう関係ないですな。
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