Filmarksでの評価がそこそこ高くて安心した。好きだなと感じた作品だったので、同じような感性を持った人が多いのは嬉しい。本作はバイオレンスものでも、社会問題を扱っているわけでも、悲恋の物語でもない。韓国映画には珍しく平凡な内容だ。ごくごく普通の人生をリアルに描いた作品性がとても良かった。主人公は人間性に問題がある酷い奴に見えるが、本当にそうだろうか？割とどこにでもいるような普通の人だと思う。そもそも人間が出来たやつなんて、そうそういるもんじゃない。本作に出てくる人物は問題があるやつらばかりだが、似たような状況に遭遇したことが全くないかというと、一つや二つは誰しも心当たりがあるんじゃないかな。本作の主人公や、その他の登場人物には元になったモデルがいるのではないか？そうでないならすごい観察力だ。日常や人生で起こりうるハプニングを非常にリアルに描いてある。韓国映画は人間性を描くのが本当に上手い。主人公は平凡で、淡々とした日常パートが静かに進む。ぱっとしないように見えて、心に響く作品だ。「よく知りもしないくせに」この言葉は誰しもに当てはまるのだと思う。2時間足らずの作品の中に、この主人公の今までの人生が垣間見える。主人公が先々で出会う人達のように、この人の一部分だけを見ると、酷いやつに見えたり、よく分からないやつに見えたり、逆に尊敬できる人に見えたりする。そんな人達と対し、主人公は心の中でこの言葉を発しているのだろう。主人公だけでなく、彼が出会う人々にもそれは言える。昔の恋人との想い出が語られる場面が好きだ。ここに今の主人公が全て集約されている。誰しもに何かしらのこうした想い出があり、みんな今を生きているんだなと思うとなんだか泣けてきた。歳を取ったってことかな(笑)。
