ロックウェルアイズ

ムーンライズ・キングダムのロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)
4.8
ニューイングランド沖の小島、ニューペンザンス島で起きた、12歳のボーイスカウト・サムの脱走事件。
彼は、1年前に恋に落ちてから文通を続けてきたスージーと駆け落ちを計画していた。
2人の愛の逃避行は周りの大人たちを巻き込んで大騒動へと発展していく。

この映画を観た5日ほど前、成人になりました。
あんなに成人に憧れていたのに、なってみると実感が湧かないもので…
で、これもまた大人になりたい子供の話。
こんなに大人になりたい衝動に駆られるのに、いまだ大人と子供の違いも分からず境界を彷徨っている自分には、直球で刺さってきた。
これでウェス・アンダーソンがただのお洒落映画監督じゃないと確信。

「盗んだバイクで走り出す」ような反骨精神よりも、大人へのある種の復讐みたいなああいう反骨精神が理想系。
子供たちのやってることは子供っぽいんだけど、大人の方が大人気ないという皮肉。
実際はボーイスカウトや島のような箱の中の方が居心地が良いのかもしれない。
島を抜け出して社会に出れば福祉だの他の隊だのに追い回される。
決して丸く収まったわけではないのに、なんだか心が温まるラストも魅力的だった。

サムとスージーのキスシーン。
今まで観てきた中で1位2位を争う名キスシーンだと思う。
あの入り江での2人だけの時間は尊すぎた。
雨が降る中、キスで感電するのもセンス良すぎる。
エンドロールまで好きが溢れていた。