ロボット開発の研究者アレックスは10年ぶりに故郷にもどってきた。大学の研究室に招聘され、ロボットを完成させるプロジェクトに取り掛かる。
作るのは子供のロボットで、その個性を構成する性質や感性をデザインするのがアレックスの仕事だ。
その作業を行うシーンがとても美しい。インターフェイスは立体映像として空間に現れるが、それがシャンデリアのようなオブジェの連なりで、クルクル回ったり揺れたりしながら、微かにガラス質の澄んだ音をたてている。
ロボットのデザインのために、モデルとなる子供を探していたアレックスはエヴァという個性的な少女と出会い、彼女をモデルにするのだったが…
セリフのひとつずつが吟味されていて、様々な意味を背負っている事が、ラストシーンの後にジワジワと沁みてくる。
雪国の静かな情景、静かな物音、抑えた情動。登場人物たちの、心を水面下に押し込めたそぶりと呼応している。隅々までコントロールされた美意識を感じられる仕事ぶり。
お話も好きだな。地味な印象だけど、じつは凄くドラマティックなつくりだ。