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小津と語る Talking With OZUのcyphのレビュー・感想・評価

小津と語る Talking With OZU(1993年製作の映画)
3.0
世界各国の監督のもとを訪ねて小津作品について語ってもらうという没後30年記念作品、らしい 正直アキ・カウリスマキ以外はそんなに大したこと言ってない(そんなに大きく影響を受けたというわけでもなさそうだし、内容も月並み) けどカウリスマキの語りは超素敵でした 真っ暗な廃墟の階段からつやつやの真っ赤な水筒片手に現れて、たばこをゆっくり吸いながら俯いて喋るのカウリスマキそのままで超よかった

カウリスマキの抜粋(ほとんど全文だけど)
「オヅサン わたしはこれまで11本のダメな映画を作ってきましたがそれは全部あなたのせいです 兄に無理矢理連れて行かれて東京物語を観たその日からわたしは文学への憧れを捨てて"赤いヤカン"を探すことにしました」「アメリカ映画の影響を受けて育ったわたしが小津監督を尊敬するのは人生の根源を描くとき一度として殺人や暴力や銃を使わなかったことです」「今日の撮影にこの古い工場を選んだのは わたし未来よりも過去をのが好きな人間だからです そして小津さん あなたもそうだったに違いないと思います」「私の墓には"生れてはみたけれど"と刻みます アリガト」

ヴェンダースは自作『東京画』の振り返りといった体で厚田さんからもらった小津の徳利を大事に飾ってるのはやっぱり重めのファンムーブでよかったけど語りは断然あっちの方がいい 侯孝賢のピークも冒頭のニカっと笑っての「ヨロシク」だった
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