ドント

デュエリストのドントのレビュー・感想・評価

デュエリスト(2005年製作の映画)
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 2005年。推しが出ていなかったら最後まで観ていなかったし、最後まで観たからこそ今から怒りと嘆きの文言しか書かない。朝廷時代の朝鮮、贋金事件を追う女だてらに気骨のある刑事と、その事件の裏で暗躍する「悲しい目」と呼ばれる暗殺者。陰謀と彼らの悲恋の物語。
 ほら面白そうでしょう概要はね。中身もね、愛し合ってはならぬ者同士の恋とか、凄腕の刺客だけど繊細なイケメン×90年代の邦画女優みたいな顔の気の強い女刑事とか、「父」と「子」とか、剣戟アクションとか、いやぁ面白そうなんだけどなぁ~。それがね、ひとりよがりの演出と構成で台無し! 台無し! まずアクションは基本スローモーションないし演者とカメラの間に遮蔽物があるために台無し。あらゆる場面で凝ったりもったいつけてるのに全部ダサいので台無し。恋愛模様も男女共に魅力を引き出せてない上に状況と心理描写がなおざりで台無し。何がやりたいんだコラ! 
「これがカッコいい演出なんだよォ!」と言いたげに繰り出されるモノが全部滑っている。そういうことをやって許されるのは一部の才能ある監督だけで、つまり才能がないのでダメなのである。残酷。それでも最後に悲しき一対一の戦い(仮)を決めてくれれば許しもしたが、始まったのは舞踊である。いやわかるんですよやりたいことは。でもそういうのはちゃんと撮れててはじめて「あらステキ」となるのであってね、こんなん見せられてもアーハァン?ですやん。ちゃんとやってよ。
 どうしてこうなった、と問わずともわかる。才能がないのに才能があると思い込んで変にアートな、俺は単なる娯楽はやらないぜみたいな映画を撮ろうとするとこういうことになるのである。カン・ドンウォンだってハ・ジウォンだってもっと別嬪に写せるしアクションだってかなりやっているはずなのに、無才なエゴが優先されてそれを撮らない。すべてが許しがたい映画である。この監督の映画はもう観な……えっ、カン・ドンウォン主演作がもう1本あるの!? きつい!! きついッス!!
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