ryodan

図書館戦争のryodanのレビュー・感想・評価

図書館戦争(2013年製作の映画)
3.2
なかなか世界観に馴染めず、自分の中で色々補完しながら見ました。国の機関と戦う?実戦で?図書館は誰が運営してる?出資者はブラックリストの知識人?最初に映画としての個人的難癖を連ねとくと、甘々なコンバットシューティング。専守防衛に徹しているから口径の小さい弾丸を装備しているのは分かるけど、正面玄関のあの至近距離からの撃ち合いはダメでしょ。絶対大量の死者が出るよ。橋本じゅんさんの力み過ぎの芝居。そして自衛隊色が強すぎるので自衛隊に見えてきてしまう。だから自衛隊の立ち位置がそのまま投影されてしまって返って逆効果。ここからは評価する点。作品の主題は、まさにブラッドッベリの「華氏451」。書籍が燃える光景はトリュフォーの「華氏451」と全く同じ。現実の生活に根差した光景にするために図書館を選んだと思うので、こういう異様な空間が生まれたのでしょう。単純に本が燃える光景は胸が痛くなりますね。この光景に世界的な名著が焼かれるシーンを入れて欲しかった。あの作品が読めなくなるという残酷さを入れて欲しかった。現実に検閲や統制、思想弾圧はある訳で。作中の検閲は正直生ぬるい。学校の風紀委員並み。その生ぬるさが逆にリアルでもある。市民はこの検閲にさほど違和感も持っていない。図書館を守る者だけが躍起になっている印象は拭えない。でも実際国民がピンとこない緩~い空気感でゴリ押ししている。言葉巧みに言い回し変えたりさ。今作のテーマは「検閲は悪」と言うよりは、「思想の自由」に重きを置いてる気がしました。さて主演の岡田さん、彼の半径2ⅿ以内だけがガチ戦争映画でした(笑)。
ryodan

ryodan