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ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮のkojikojiのレビュー・感想・評価

3.6
王室を揺るがす世紀の恋といえば、「英国王のスピーチ」にも出てきたウォリスとエドワード 8世「王冠を賭けた恋」を思い出すが、この映画はちょっと違った。

 18世紀のデンマーク王室を舞台に実際にあった王クリスチャン7世と王妃カロリーネ、侍医ストルーエンセの三角関係をもとにした物語である。

鉄板のラブストーリーと思っていたら、単なる三角関係の話ではない。
啓蒙思想家侍医ストルーエンセは王妃と恋に落ちながら、一方では枢密院を解散させ、王クリスチャンの決裁権を代行する権限まで奪取して、自らの思想を実行していく。

しかし、観ている側は、二人の恋愛関係の方に目がいって、彼が提出する法律はどうも胡散臭く感じてしまう。
真面目に政治の仕事をやるというより、馬鹿なクリスチャンに漬け込んで自分の思うがままにやってるとしか見えない。実はクーデターなのだ。

二人の恋の行方以上にデンマーク王室の方が気になる。
財政を考えていない侍医ストルーエンセは、思想だけで政治を動かそうとしているのではないか。収入は貴族の年金削減や賦課だけで得ようとしては、貴族達がいずれ反攻勢に出てくるに決まっている。この映画では、そこへの思慮が足らないように見える。

王妃カロニーネも確かにクリスチャン7世の素行を見ると不幸だと思うし、恋に落ちるのも理解できるが、あまりに行動が軽率すぎないか。
反対派の動きなど彼等は全く考えているように見えない。
こんな状況で、二人に未来はあるのかとイライラしながら観ていた。



ラストの手紙と解説でこの映画の真意が明かされる。真意は分かる。

最後のカロニーネの子供達へ手紙は、ストルーエンセの失脚後、デンマークは中世に逆戻りし、他のヨーロッパ諸国が反映する中で、デンマークは暗黒の時代になった。あなた達がデンマークの希望なのだと書いている。

そして解説。
クリスチャン7世の跡を継いだフレデリクは16歳で宮廷クーデターに成功、皇太后一派を追放。55年間続いたフレデリクの治世では、ストルーエンセの法律が復活、農民解放も実現したと。

ここまで知って、そういうことだったのねと理解する。
そういえば、王妃が嫁いで来た時、馬車の中から、農村の貧しさや、浮浪者、大きなネズミが溢れる街の姿が映されていた。あれはこう言う事が言いたかったのかと理解した。

要するに、私がデンマークの歴史を知らなすぎるということなのだ。

と、政治の話ばかり書いたが、アリシア・ヴィキャンデルは美しく、二人の恋心が発火する舞踏会でのダンスシーンをしっかり堪能させてもらったので、結局何も言うことはない。

👑キャスト

監督:ニコライ・アーセル
脚本:
ニコライ・アーセル
ラスマス・ヘイスターバング
原作:
ボーディル・スティンセン=レト

🏰出演
ヨハン・ストルーエンセ :マッツ・ミケルセン(デンマーク王の侍医。ドイツ出身。)
カロリーネ王妃 -:アリシア・ヴィキャンデル
 (デンマーク王妃。英国王室出身。)
クリスチャン7世:ミケル・ボー・フォルスゴー
 (デンマーク国王。精神を病んでいる。)

2023.03.20視聴121
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