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共喰いのdarumaのレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
3.8
青山真治監督の「EUREKA」のプロデューサーさんが手掛けた「はだかのゆめ」という作品があり(未見)、その作品の監督さんが菅田将暉くんのMVも手掛けられたと見かけて、なんとなく繋がりで観てみました。こんな感じか…!

個人的には田中裕子さんがすべて持ってった感じ。
彼女がめちゃくちゃ良かったです。
何気に私、田中さん出演の映画、結構観ているんですよね…フィルモグラフィの古いほうから行くと「はじまりのみち(これだけ本作より前)」「家路」「ひとよ」「おらおらでひとりいぐも」「太陽の子」「千夜、一夜」「怪物」出番の長短はありますが、どれも役どころが印象深いものばかりです。勿論、演技も…。

菅田くんが結構きわどい作品(R15)、という事は事前知識としてあったのであまり驚きませんでしたが(めっちゃ若っ!!とは思いました。そりゃそうか…10年前の作品ですしね)、これは仮面ライダーからそこまで空いていない時期の作品って事ですよね…そう考えると凄いですね。

青山真治監督、私はイマイチ合わないのかも…
モノローグ、誰だろう…エンケンさん(遠藤憲一さん)?とか思ってたら、まさかの!!光石研さん…(そうかここがEUREKA繋がりか!気付かなかった、不覚…エンケンさんと共にバイプレイヤーではあったが)
私、光石さん大好きなのに、なんかいまいちピンと来なかった。。
光石さんはドラマ「デザイナー渋井直人の休日」で好きになったのですが、あれも確かモノローグあったと思うんだけど…だから喋り方が苦手、とかではないと思うんですよね。
なんていうか、説明を全部モノローグに寄せて、固めている感じが好きじゃないんだと思う。説明とシーンが分離しちゃってる、というか。
なんなら説明が無い作品の方が好きなので、その説明がどうにも鬱陶しくて気になりすぎた…
光石さんの演技自体はよかったけど!(エロ親父、声がうますぎた…違!)

でも、テーマというか、内容は良かった。
なんか押見修造っぽいな…と思いましたが、違いました。
原作は芥川賞受賞作の小説なのですね。
父親の性癖から逃れられない感じが、絶妙に出ていてよかったです。
もはや犯罪とかじゃなくて、習性?そういう気質?…なんだろう、うまく言えないのですが、一つの個性というか。今でいう、ある意味、マイノリティにスポットを当てた作品と言えなくはない、と思います。
(でも、自分の身近に居たら嫌だけど…苦笑)

ラスト、田中さんのくだりが急激に飛躍してビックリしたのですが(「あの人」)、青山監督っぽいと言えばそう。これは原作通りなのかな…?
エンドロールで荒井晴彦脚本と知り、妙に納得。(そこも含めてすべて!)

舞台が山口の下関で方言があるのですが、菅田くんはちょっと厳しく感じた…特に最初のほう(後半は気にならなくなりましたが)。光石さんが北九州御出身という事を知っていたので、どうしても彼や田中さん(彼女は何をやっても違和感がない!)と比べると、喋らされている感が強いというか。でも、そう思うと、今は物凄く成長されたんですね…(と言っても方言の作品を他にあまり観た印象はないのですが。でも、結構地方が舞台の作品が多いですよね?「そこのみにて光輝く」は函館、「ディストラクション・ベイビーズ」は愛媛、「溺れるナイフ」はどこの設定か忘れましたが、地方でしたよね…?ロケ地は和歌山なのか←調べた)

てっきり冒頭に書いたプロデューサーさんの作品かと思っていましたが、後で本作について調べてみたら、違いました。脚本も青山監督ではないので、EUREKAより難解さはなく、わりと商業作品に振ってきている感じです(商業作品ではないか…でも作家性とは違うような?この後の長編監督作が「空に住む」なので、模索している感じだったのでしょうか…)。エグいのはエグいんですけど、なんていうか、マイルド寄せしている感じではあります。特筆すべきはドラマ「エルピス」のギークピクチュアズが製作に入っています。何となくラストがわかる感じです…女性視点というか。配給はビターズ・エンド、結構好きな会社です。
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