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さよなら渓谷のbowcatのレビュー・感想・評価

さよなら渓谷(2013年製作の映画)
4.4
なんでもしてくれるんでしょ
あたしより不幸になってよ
あたしの目の前で苦しんでよ

加害者が罪を償おうとしても
被害者の心は癒えない
そんな苦しい苦しい映画でした

真木よう子の叫びが心に響く

事件のあと彼女が出会った男たち
少し前の映画だからか
ちっぽけなプライドを持つ男たち

レイプされた彼女の気持ちより
彼女が他人にされたことを気にする
自分のモノを他人に荒らされた
モノ感覚で見てしまう男たち

だから彼女はどこにも行けなかった
そしてあの男と渓谷にたどり着く

『友罪』では被害者は死んでいて
 被害者家族の悲痛しか分からないが
『さよなら渓谷』では
 被害者本人の悲痛が生々しく描かれる

だからこの映画の方が重苦しく感じられた

苦しみの中で生きている被害者
その傍らで見守っている加害者
過去の出来事は消えることはない

渓谷は山間の川沿いにあって
まわりより低い土地
そこでジメジメと生きることは
ふたりには丁度よかったのか?
そこで幸せになりそうだった
幸せになってはいけない男まで

彼女をそんな過去を持つ悲しい女としか
見ようとしない男たちに哀れんで接して
欲しくなかっただろう

そんな心で見てこないのは
加害者のコイツだけだった
だからこの男に抱かれると羽ばたけた
「ねぇ、しよぅ?」

彼女が旅立ったということは
少なくとも、心に区切りはつけた?
それとも彼が幸せそうになる様が
見ていられなかった?
どちらにせよ彼女の苦しみは消えることはない

彼は男だから一生引きずるに違いない
男は所詮、過去に生きる

最後の質問、いるかなぁ?と思った
いるんだろうな

ドロドロにも生きてみたい😆


=追記=
いろんな方のレビューを読み

彼女は過去をさらけ出して
それでも
普通に彼女を見てくれる人は
彼しかいなかったんだよ
彼女はだからホッとしたんだよ
この人にだけは全部見せられるから

そんな気持ち分かりませんか?
共依存とか単語でわかった気にならんといて
自分もまだまだだけど
レビュー書いてる方々
なんで書いてるの?暇つぶし?
落書きよりは少し責任あるからね
bowcat

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