松原慶太

シャーロック・ホームズ 殺しのドレスの松原慶太のレビュー・感想・評価

3.8
ベイジル・ラスボーン版ホームズを続けて鑑賞。これ当時としてはかなりの傑作では。

3つの価値のないオルゴールを盗賊団が狙っているというストーリーはオリジナルだが、原典の「6つのナポレオン像」が下敷きになっている。

「赤毛連盟」もそうだけど、こういういっけん意味のなさそうな小さな犯罪の裏に大きな犯罪が隠れている、という図式はいかにもコナン・ドイルっぽい。

ところどころ「ボヘミアの醜聞」からの引用が出てくるあたりも心憎い演出。

メロディが事件の鍵となるところはヒッチコック「バルカン超特急」(1939)っぽい。製作年度からしていただいたのかも。

難を言えば、ホームズものは19世紀末の話なので、馬車がおもな交通手段のはずだが、自動車とかバスがガンガン走っているあたりはご愛嬌というところか。

なお劇中に出てくるサミュエル・ジョンソン博士というのは、著名な辞書の編纂者で、日本で言うところの金田一京助みたいな人。当時の米英の観客ならば、あーなるほど的なオチだった筈。
松原慶太

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