Kuuta

氷の微笑のKuutaのレビュー・感想・評価

氷の微笑(1992年製作の映画)
3.5
初見。細かな小技も効いている良作だと思うが、あえて一言にまとめると「シャロンストーンがエロかった」に帰着してしまう宿命を背負った作品。「こっちもゲームに参加するのさ」とカッコつけるマイケルダグラスが下心丸出しにしか見えないが、このエロさを前にしたら流石にしょうがないと思った。

この頃からフェミニズム的なバーホーベンの目線は全く揺らいでいない。女性という幻想に溺れる男を理性の力でボコボコにしていくキャサリン(シャロン・ストーン)。作品のテーマ的にも演出的にもヒッチコック「めまい」オマージュが散りばめられている。金髪のカツラが出てくる所テンション上がった。

ベス(ジーン・トリプルホーン)を利用するニック(マイケル・ダグラス)。ニックを利用するキャサリン。2人は似た者同士のサイコパスでもあり、ニックは危険を承知でゲームに興じる。ラストはそんな彼の姿勢の象徴でもある。

気の利いたセリフ回しの数々も印象的。
「セックス、女、ドラッグが好きだった」→「あと市長も」(市長はドラッグとかと同じレベルの非合法的な存在という皮肉)。
「コークを頂戴」→「本当は(コカインかコーラかセックスか)何が欲しい?」。

仰々しいジェリー・ゴールドスミスの劇伴が素晴らしかった。ガラス越しの光と影や水の滴りを捉えたヤン・デ・ボンの撮影も光る。古典的なサスペンス感というか、見え見えの演出(エレベーターのシーンなど)も楽しい。ラストの繰り返しがしつこすぎて笑った。終盤、ベスが話に絡み出してからの展開が性急に感じたのがちょっと残念。71点。
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