回想シーンでご飯3杯いける

サウンド・オブ・ノイズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

サウンド・オブ・ノイズ(2010年製作の映画)
4.0
ヨーロッパのマイナー作品には、アイデアに満ちたユニークな作品が結構あるけれど、小粒であるが故に数年経つとその印象も薄れていってしまう場合が多い。そんな中で「音楽テロリスト」というかなりぶっとんだ題材を軸にした本作は、ずっと頭の中に残っていた。いや、これって実はかなりの名作なのでは?という思いが捨てきれず再鑑賞。

街中にある物、例えば病院に設置されている心拍計や酸素ボンベ缶、工事用のブルドーザー等を楽器にして、ゲリラライヴを繰り広げるのが彼等の活動。殺人や金銭が目的なのではなく「街中に溢れる下らない音楽を駆除する事」が動機である事や、彼らを追う警察官が音痴で音楽センス・ゼロという設定も面白い。

本作の舞台スウェーデンは、ABBAやCardigansのようなポップスから、アンダーグラウンドなエレクトロ・ミュージックまで、非常に音楽が盛んな国で、ここでは後者に属する実験的な音楽が取り入れられている。スウェーデン語の少しくぐもった発音も、テロリストの怪しさを強調して味わい深い。

人間の中にある凶暴性や承認欲求と音楽の関係を描いた点で「時計仕掛けのオレンジ」にも通じる、隠れた名作だと思う。というわけで、スコアは初鑑賞時より上方修正。