FutosiSaito

愛のコリーダのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

愛のコリーダ(1976年製作の映画)
5.0
 いろんな監督が、激しい描写をしようとしているが、大島渚は凄かった。ラース=フォン=トリアー監督でも2000年くらいになってからのハードコアだ。
 大島渚はそれを1976年にやった。
 そして、常にそこが話題になるが、この映画の白眉は「行軍」のシーンだ。
 その横で、居づらそうにする吉蔵の姿だ。
 明治の富国強兵により日露・日清二度の戦争を仕掛け、またも大戦に突入しようとする世相のなかで、性愛にひたすら耽った阿部定と吉蔵。
 男の首を絞めながらの快楽を追求するあまり、殺してしまい、その男根を持ち歩いていたという、阿部定の実際の事件。
 一人だけ性欲が突出すれば、変態性欲の異常者なのだろうが、パートナーも喜んでいれば、それは仏題どおり「愛の帝国」となる。
 その、おかしみや哀しみを描くのに大島渚はハードコアを必要とした。
 スキャンダラスなありかたも、内容も文字通りの傑作だ。
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