ぶれ

ブリーダーのぶれのレビュー・感想・評価

ブリーダー(1999年製作の映画)
3.0
主人公格5名の中で明暗がはっきりと分かれ、ラストシーン後もなぜか不安の残る映画でした。

5名の中でもレオ、恋人のルイーズ、ルイーズの兄ルイを中心とした妊娠を契機に変化する、それぞれの感情と関係が映画のメインになっています。

はっきり言ってレオは何度もルイーズに中絶をさせるような男。
お世辞にもいい奴とはいえません。

ルイーズも自分勝手にレオの個人スペースを侵蝕したり、何かあれば
母やルイに相談という名の告げ口をするタイプ。

ルイはもうマフィアの如くなので言うに及ばず。

そんなルイやルイーズに追い込まれ、レオが自分の感情を爆発させた結末は本当に救いがないというか……。

かたやレンタルビデオ屋に勤め60年代の映画やブルース・リーを愛してやまないレニーですが、「カジノ」をレンタルしに来たレアという女性に思いを寄せます。

街中で見かけては声をかけたり、彼女の勤める店に行ったりと努力を重ねるのですが、その様がとてもいじらしい。
(下手したらストーカーに見えなくもないのですが、そこは置いといて)

レニーを演じるのはマッツ・ミケルセンですが、こんなにも不器用で、純朴な青年役は珍しいのではないでしょうか。

この映画のエンディングは一応、ハッピーエンドを予感させるような終わりだとは思うのですが、何故か不安な気持ちがぬぐえませんでした。

決して不穏な何かが出てくるとかそういうわけではないのですが、レニーがレアに対して、自分のこだわりをある程度妥協しても愛情をかけられるのか?

エンディング前の展開を見ているだけに、幸せな未来を完全には信じられなかったのかなあと自己分析しています。

とりあえずカップルや夫婦では観ない方がいいと思います。
マッツファンの方は彼のダサくてボロボロな服装からのカジュアルスーツ姿の変身っぷりをご堪能ください。

小ネタですが、レニーが着てるTシャツ、あのエド・ウッドの迷作「プラン9 フロム・アウタースペース」だったりと細かいところが面白いです。
ぶれ

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