人種対立が根付いている町を訪れた青年が、黒人に対する拒絶反応を煽り立てていく。チャールズ・ボーモントの同名小説を本人脚色で映像化している、社会派サスペンス。
1958年にテネシー州で発生した事件をモデルにしている作品。人種統合政策により、町の高校に黒人の生徒が入学することになるのだが、差別主義者の白人青年がリーダーシップを発揮。美形で雄弁な人間性をもっているため、町人の思想が偏っていく。
スケールの小さな世界で例えるならば、クラスの調子こき野郎がクラスメイトたちを扇動して、発言権が得られない弱者を追い込んでいく感覚に似ている。黒人側が無抵抗を貫くところも、シンパシーが刺激させられる。
中盤部に入り、ジャーナリストが絡んでくると、青年は"英雄になりたいだけ"の小さな器をもった利己主義者であることが判明。人間の脳みそがいとも簡単にコロッといってしまう恐怖が描かれており、この世で一番怖いのは人間であることを痛感させられる。