ビターチョコ

しわのビターチョコのレビュー・感想・評価

しわ(2011年製作の映画)
4.1
傑作の海外アニメーション映画。
五年以上前に観た。
DVDで一度だけ観た。

●あらすじ
老いて認知症になった男性が、息子夫婦に老人ホームに入れられる。そこは認知症の老人の施設で、彼は「銀行の元偉い人」だからプライドが高く、周りに上手く馴染めない。毎日が平凡に過ぎていく。だが本人には平凡じゃなく、認知症の新しい体験の毎日だった。

誰でも老いる。80代ならたぶん全員が、自分が認知症であることさえ認知できない人になる。だがプライドの高さは消えないから、本当にやっかいだろう。

誰でも老いる。40代なら「老い」は他人ごとじゃない。40代なら、老いた親がいるもの。だからこの映画は、身近に(絶縁できない)老人がいるか、ご本人が老人の場合「強く刺さる!」映像作品だろう。

「沈黙は金、雄弁は銀」など、知っておくと良い名言があるが、この映画もできれば一度は観ておくと良い映画だろう、認知症になる前に。

そうそう、この映画はアニメーションである。だから、アニメーションにしかできない演出が多数あった気がする。今はVFXがあるから、アニメーションのような荒唐無稽な映像表現が可能になったが、手描きアニメーションなら違和感なく表現できる。何よりこの映画の「演出と作画」は的確だから、ずっと安心して観ていられた。