OASIS

マリといた夏のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

マリといた夏(2002年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

医者になる為旅立とうとする友人と久しぶりに再会した主人公が、彼から渡されたある物をきっかけに子供時代に起きた不思議な出来事を思い出すという話。
声の出演イ・ビョンホンとアン・ソンギでお送りする韓国産のアニメーション映画。

ビルがあちこち建ち並ぶ都会の街中を鳥が舞うオープニングからの親友との再会という現代パートは新海誠風、そして、幼い頃に漁師町に生まれ育った主人公が少年時代に体験するファンタジックな世界との出会いを描く過去パートはジブリ風。
だからといってパクりパクられがどうだとかは言うつもりは無くて、あちらの国にも新海誠節が好きで宮崎駿の世界観に憧れている人がいるのだなぁと改めてアニメというものは世界・世代を超えるものなのだなと認識させられるのであった。

主人公が灯台に登りビー玉を覗き込み迷い込んだ場所では深く緑が生い茂っており、そこで出会う少女マリは真っ白な毛むくじゃらの女の子で、しかも超巨大でモッサモサな犬を引き連れているという謎の世界観。
マリは特に何を主人公に助言する事も無く、彼女に出会った主人公が逆にいつでもマリのいる空間を思い出し妄想するようになる。
寝ている場面から急に水泡が現れたかと思ったら水中に変わるシーンや、気付いたら雲の上に浮かんでいるシーンなどはアニメでしか表現出来ない演出であるし、そのアニメーションのクオリティも日本の作品に近い所で言うと「ももへの手紙」みたいなリアル寄りで、人間臭さを感じる絵で親しみは持てる。

ただ「もののけ姫」の様な森と人との話なのか「おもひでぽろぽろ」の様なノスタルジーを感じさせる話なのか良く分からないし、マリという存在が本当に居るのか主人公達の作り出した妖精のような存在なのかも結局あやふやである。
津波を止めてしまう程の力の持ち主なら、漁師町からすれば神様として崇められてもおかしくは無い存在なのだが、ビー玉の中に居るくらいだからケサランパサラン的な妖怪の一種かもしれない。

何にしろ、その不思議な体験をした子供時代にはもう二度と戻る事が出来ないという郷愁や憧れの感情が後に残ったので、個人的にはラストにもう一度訪れるファンタジックなシーンは蛇足だと感じてしまった。
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