がんちゃん

ウォールフラワーのがんちゃんのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
4.0
ヒロインのエマ・ワトソンよりも助演のエズラ・ミラー君の方が美しい、21世紀型の青春映画はこれだー!

ホームパーティーでハメを外したり、カフェテリアでケンカしたり…過去のアメリカ青春映画で何百とやってきたことを現代版にアップデートしましたって感じ。
しかし本作の主人公チャーリー君は「草食アート系童貞男子」である。作家志望で鬱ロックが好き。アメフトやってない。クルマも持ってない。安定剤を飲んでいる。うん、音楽の趣味とお薬以外は全部あの頃の自分と一緒じゃないか。
『卒業』で主人公を演じた165cmユダヤ系のダスティン・ホフマンより更にWASP感がない。『卒業』ではヒロインを結婚式場から略奪するというあまりに有名なラストに対し、チャーリー君は「君が幸せでさえあればそれでいい」という賢者モード…彼こそが今の時代に共感を呼ぶ主人公像なのかもしれない。

ただ、本作ではLGBT問題が大きく描かれており、真の主人公はエズラ・ミラー扮するゲイのパトリックともいえる。
同性愛に対しまだまだ風あたりの強い中、彼は臆することなくゲイを公言し、むしろ『ロッキーホラーショー』のパーティ上映にノリノリで出演していたりする。
しかし一見明るく振る舞う彼がいざ辛い状況に直面し心の闇を打ち明けたとき、あなたは友達として変わらずに接し続けることができますか?

互いのコンプレックスを乗り越えて固い絆で結ばれた若者たちには今この瞬間、恐れるものは何もない。デヴィッドボウイの歌声が高らかに讃える。
「僕らは1日だけヒーローになれる」
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